AIを使ったデータ復元ソフトWonderFox『RecoveryFox AI』

RecoveryFox AI ソフトウェアレビュー

WonderFox様より、データ復元ソフト『RecoveryFox AI』の紹介記事の執筆依頼をいただきました。

これまでいくつかのデータ復元ソフトを使ったことがありますが、このソフトウェアはAIを使用し、高い復元率を誇るというもの。
個人的に非常に興味があったため、「ぜひやらせてください!」と、スケジュールに無理を言ってまでレビューを書かせていただきました。

結果から言うと「恐ろしい」。
こんなファイルを保存したことあったっけ?と思うものがゴロゴロと出てきました。
中途半端な消し方をしただけでは簡単に復元されてしまうなぁと、これまでのデータの消し方をあらためる必要があると感じました(見られて困るようなファイルはほとんどないんですけどね)。

今回紹介させていただく『RecoveryFox AI』は、誤って削除してしまったデータや、システム障害やコンピュータウィルスの攻撃によって失われたデータを復元することができるソフトウェアです。

データの復元方法について、知識としては知っていたのですが、この手のソフトウェアの存在を知るまでは、専門の業者に依頼するものだと思っていて、恥ずかしながらつい最近まで、家庭でもできるものとは知りませんでした。
自宅でデータを復元できるのであれば、「間違って消去しちゃった」というときに、すぐに対応できますね。

データを削除すると…

なぜデータの復元が可能かという話をする前に、Windowsでデータを削除するとどうなるかについて、簡単に説明します。

ゴミ箱に入れると

一般的に、ファイルを選択して「Delete」キーを押したり、ファイルのアイコンをゴミ箱の上にドラッグ・アンド・ドロップすると、そのファイルは各ドライブにあるゴミ箱フォルダに移動されます。
移動すると言っても、どのフォルダの中にあるのかという情報を書き換えるだけですので、大きなサイズのファイルでも一瞬でゴミ箱に移動されます。

また、どこにあったファイルかという情報を持っているため、元の場所に戻すことができます。
したがって、ゴミ箱内のファイルを元に戻すだけであれば、データ復元ソフトウェアを使用する必要はありません。

完全に削除すると

一般的に、外付けドライブ内のファイルを削除したり、ファイルを選択して「Shift」+「Delete」キーを押して削除した場合、ゴミ箱を空にした場合、それらのファイルはWindows曰く「完全に削除」されます。

ファイルを完全に削除

しかし、実際に行われるのは、ドライブの管理情報に「削除された」という情報を書き加えるだけで、データの本体は残ったままです。
そのため、大きなサイズのファイルでも一瞬で「完全に削除」されます。
新しくファイルを作成したり、既存のファイルのサイズが大きくなったときなどに、削除したファイルが保存されていた領域にデータが上書きされると、はじめてデータ本体が消えていきます。

データを「完全に削除」したときのイメージ

そのため、データ本体が上書きされる前にデータ復元ソフトウェアを使用することによって、データを復元することができます。

また、データの一部が消失していても、前後のデータなどから消失した部分を復元することができる場合があります。

誤って必要なファイルを削除してしまったことに気づいたときは、同じドライブにファイルを保存することを避け、できるだけ早く『RecoveryFox AI』などのデータ復元ソフトを使用することで、データを復元できる可能性が高まります。

データを復元できないようにするには

ファイルを「完全に削除」して、ユーザから見えない状態にしても、データ本体が残っている可能性があることを説明しました。

パソコン本体や記憶装置を廃棄するとき、特に個人情報や秘密情報が含まれている場合は、データを復元できないようにする必要があります。
データを復元できないようにするためには、データ消去機能を持つソフトウェアを使用してデータ格納領域にランダムな値を上書きするか、物理的に破壊する必要があります(プレス機で潰すなど)。
また、HDDであれば、強い磁気をあてることでデータを消去することもできます。

『RecoveryFox AI』について

データ復元ソフト『RecoveryFox AI』は、内蔵ドライブ(HDDやSSDなど)や、外部ドライブ(USBメモリ、SDカード、TFカード、カメラなど)から失われたデータを復元することができるソフトウェアです。

操作はわずか3ステップと、わかりやすいユーザインタフェースを備えています。

そして、最大のポイントがAIを搭載していること。
私としてもここに惹かれたのですが、本当に凄かったです!
AIと言ってもピンキリだという事は理解していて、期待半分、お手並み拝見という思い半分で使ってみたのですが、結果には大満足でした(と言うか、怖いくらい…)。

料金プランは4種類。
1週間ライセンスが7,980円、1ヶ月ライセンスが9,980円、1年間ライセンスが11,980円、永久ライセンスが15,980円(すべて税込)となっています。
(2025年7月5日現在)

また、無料版が公開されており、データのスキャンとプレビューを無料で行うことができます。
データ復元を行うことはできませんが、まず無料版で復元可能かどうかを確認してから、製品版を購入するという方法もありそうです。

ただし、紛失したデータが格納されていたドライブとは別のドライブにインストールすることで、損失したデータを上書きしないようにする必要があります。

機能等の詳細については、製品Webページをご確認ください。

『RecoveryFox AI』のメイン画面

『RecoveryFox AI』のメイン画面はとってもシンプル。
デバイスやドライブの一覧と、右サイドメニューに「ごみ箱」、「デスクトップ」の2つがならんでいるだけです。

RecoveryFox AIのメイン画面

そして、各デバイスやドライブ、ごみ箱、デスクトップの上にマウスカーソルを合わせると青く反転し、クリックするとスキャンがはじまります。

RecoveryFox AIのメイン画面

データの復元

以下では、実際にごみ箱から削除したデータの復元を行ってみたいと思います。

実際に使っているパソコンに対してデータ復元を試みたので、どんなファイルが復元されるか、いろんな意味でドキドキです。

なお、私が今回使用したのは、Ver. 1.0の正式版です。

スキャン

ごみ箱から削除されたデータのスキャンを行うには、上で説明したとおり、メイン画面の「ごみ箱」をクリックするだけです。

ごみ箱から削除したファイルの復元

スキャンによって、私のパソコンの場合、32個のファイルが見つかりました。
(SSDがクラッシュして載せ替えたばかりだったので、ファイルが少なかったです)

左側にフォルダツリーが表示されるので、フォルダをクリックすると、右側のフォルダ以下で見つかったファイルの一覧が表示されます。

ごみ箱から削除したファイルの復元

プレビュー

『RecoveryFox AI』には、ファイルを復元する前にファイル中身をプレビューする機能が搭載されています。
スキャン結果として表示されたファイルの上で右クリックし、「内容プレビュー」をクリックすると、ファイルの内容がプレビューされます。

ごみ箱から削除したファイルの復元
ごみ箱から削除したファイルの復元

復元

プレビューの結果、復元したいファイルだった場合は、下側のファイル名左のチェックボックスにチェックを入れて「ファイル復元」をクリックすると、ファイルを復元することができます。

この時、復元先としてファイルがみつかったドライブと別のドライブやメディアを指定する必要があります。

ごみ箱から削除したファイルの復元
ごみ箱から削除したファイルの復元

プレビュー画面から1つ1つファイルを確認しながら、復元するファイルを選択する方法とは別に、スキャン結果として表示されたファイル一覧にチェックを入れ、まとめてファイルを復元することもできます。
すべてを復元したい場合や、ファイル名や日付、ごみ箱に入れられる前に保存されていた場所などから必要か否かを判断できる場合は、こちらから復元するファイルを選択した方が早いかもしれません。

ごみ箱から削除したファイルの復元

AIスキャン、復元

どういう基準でAIスキャンを行うかどうかを決めているのかがよくわからなかったのですが、上でごみ箱から削除したファイルを復元したときには、AIスキャンは行われなかったように思いました。

次にSDカードの中をスキャンしたときにはAIスキャンが行われたので、その様子を紹介したいと思います。

対応しているファイルシステム

実際にSDカードから削除されたファイルの復元を見ていく前に…

手元にあったSDカードからファイルの復元をしようとしたところ、「このファイルシステムは現在データ復元をサポートしていません!」というエラーメッセージが表示されました。

SDカードはFAT形式でフォーマットされていたのですが、どうやらFATには対応していないようです。

他のWindowsで標準的なファイル形式である、FAT32、exFAT、NTFSでフォーマットして確認したところ、これら3つには対応しているようでした。

SDカード内のファイルを復元

SDカードから削除されたファイルの復元

FAT32、exFAT、NTFSで順にクイックフォーマットをした後、データの復元を試してみたところ、通常のスキャン(クイックスキャン)のあとにAIスキャンがはじまりました。
なお、通常のスキャンの結果見つかったファイル数は0個でした。

SDカード内のファイルを復元

1GBのSDカードを通常のスキャンを行うのにかかった時間は10秒以下でしたが、AIスキャンには1分半ほどかかりました。

そのAIスキャンの結果、145個のファイルが見つかりました。
「CR2」より下に表示されているフォルダは、クイックフォーマット前に私がテスト用にSDカードに保存した後に削除しておいたデータです。

しかし、「ファイル内のサブファイル」内にある117個のファイルには心当たりがありません。
そこで、画像ファイルを1つプレビューしてみると…

SDカード内のファイルを復元

山口県の角島大橋の写真が出てきました。

SDカード内のファイルを復元

この写真は1眼レフカメラで撮った写真なのですが、もっと容量が大きなSDカードしか使っていないですし、JPEG形式では撮影していないため、JPEGに変換後にこのSDカードに保存したようです。

他にもいくつかデータが見つかったのですが、それらもなぜこのSDカードに保存したのかが記憶にないくらい、昔に保存したファイルでした。

それ以降、何度もデータを追加、削除したり、異なるファイル形式でフォーマットをしたりしたのですが、これらのファイルが見つかったことは、驚愕以上のインパクトでした。

上の画像の右側5つのファイルのように、プレビューや復元してもファイルが壊れていたものの方が多かったですが、このSDカードに保存した記憶がないファイルが見つかったことは衝撃でした。

『RecoveryFox AI』を使用した感想

何度も言うようですが、怖いくらいデータを復元できるソフトウェアというのが私の感想です。

異なるファイル形式でクイックフォーマットを繰り返したSDカードから、異なるファイル形式で保存したファイルが復元できたことがまずビックリ。
さらに、なぜこのファイルをこのSDカードに保存したのだろう?と、保存した記憶がないくらい昔のデータが出てきたことに驚愕。

これがAIの力なのでしょうか。

個人的にはAIは万能ではなくて、時間をかければできることを短時間でやってしまうという目で見ているのですが、これだけデータを復元できてしまうと、業者も商売あがったりなんじゃないかなと思ってしまったり。

ユーザインタフェイスも簡潔ですし、わずか3ステップでデータの復元が可能なので、使いやすく、復元率も高いデータ復元ソフトだと感じました。

一方、SDカードの中からデータを復元するときに、内蔵ドライブを復元先に指定しようとしたのですが、データが格納されていたのと別のドライブに保存してくださいと言われてしまいました。
結局、外付けHDDを繋いでその中に復元したのですが、そのあたりになにかバグが残ってしまっているかも知れません。

あとは、特定のフォルダをしていして復元できると良いかな?と思いました。
結局ドライブの中をすべてスキャンする必要があるのでしょうが、結果を見るときにフィルタがかかった状態で確認できるので、より使いやすくなるのではないかと感じました。

AIスキャン、復元の実力は十分感じられたのですが、時間がかかる点がネックでしょうか。
スキャンを途中で止めることができるため、目的のファイルが見つかったところでスキャンを停止することができるので、特に問題はないのかもしれませんが…

全体的には大満足で、このレビューもその勢いで一気に書き上げてしまいました。

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